中国障害者芸術団の紹介
中国障害者芸術団は1987年に設立されました。中国全土6千万人の障害者から 選ばれたアーティストたち、総勢約60名で構成されています。中国の誇る 文化と芸術性の高い公演は、中国国内だけにとどまらず、友愛と調和を伝える
『美と親善の使者』として世界各地40カ国以上の地を訪れ、夢と希望を与えています。アテネパラリンピック閉会式、2005年愛知・愛地球博での出演、彼らのドキュメンタリー番組『夢とともに』がハリウッド国際映画テレビフェスティバル最優秀テレビテーマ賞を受賞するなど世界的な高い評価を得ています。
日本でもテレビやマスコミで大きく取り上げられ、大きな反響を呼んでいます。
千手観音についての説明
千手観音とは、もともとは、仏教で言う「菩薩」のことですが、今回紹介している“千手観音”は、中国障害者芸術団で行われている舞踊を指します。彼らは、聴覚障害者です。そう、耳が聴こえないのです。音が聞こえないにもかかわらず、音楽に合わせて繰り広げられる舞踊。聴覚障害者だとは考えられない、その動きに、感動する。“千手観音”の彼らの動きに注目してほしい。音のない世界にいるにもかかわらず、彼らは、練習を重ねることで、音が聴こえないことを克服し、生き生きとして踊っている。なぜ、彼らは、千手観音を演じられるのでしょうか?
千手観音を演じる団員たち
千手観音を演じる団員たちは、16~30歳の男女、総勢21人。彼らは、聴覚障害であり、耳が聞こえません。中国の全土から選出された目や耳など身体障害をもった人達が出演者なのです。普段のやり取りや意思疎通は、手話。音楽は当然に聴こえません。私たちは、音楽を聴いて踊ることを考えると、やはり簡単に真似できるものではないことがわかるでしょう。
では、何を感じ取って踊っているのでしょうか?答えは、息遣い。流れる空気、吹きかけられる空気、そして、太鼓の音ではなく、振動を感じて踊ります。耳以外の感覚を研ぎ澄まし、“千手観音”を踊っているのです。この人達は吐息を吹きかける事で、手が動く事を前の人に教えているのです。自分一人だけの力ではなく、互いの息が合わなくてはあの様に踊れないのです。一糸乱れぬその踊りには、それはもう感嘆するしかありません。
千手観音が生まれるまで
千手観音ができあがるまでは、さまざまな苦労と努力がありました。監督が、長年かけて練り上げた構想と、手話コーチの的確な伝達、そして聴覚障害者の彼らの訓練の3つが融合することによって、人々が思わず息をのみ、見入ってしまうような、素晴らしい舞台が作り上げられているのです。千手観音を踊る、彼らは、耳が不自由な分、他の感覚が鋭く、感じる力が強く、それが踊りの表現力をさらに、豊かにさせているのではないでしょうか?彼らが“千手観音”を通して、発信しているのは、「人間誰しも、努力さえすれば、何でもできる」ということでしょうか。
この「千手観音」の舞踊は、これまでに40カ国以上を訪問し、約700回の公演を行っています。彼らは、「障害者が健常者以上に夢を持ち、強く生きる力、そして、美しい芸術性を舞台の上で披露すること」を伝えているのです。障害と言う壁を乗り越えたこの人たちには、常人では得られない絶対音感を超えた、「絶対体感」を兼ね備えているのかもしれません。
千手観音の舞踊
千手観音の舞踊は、「天女の舞」とも言われている。他にも「仏の世界が目の前に見えているようだった」「人々の苦しみや悩みや辛さを解き放してくださる「観音様」のように見えた」などと、世界中の誰もが、“千手観音”のパフォーマンスを見て感動しています。“千手観音”の金色の衣装もまた、そのように見えてしまうのかもしれません。さらに、正面役の女性の慈悲に満ちた表情と28本のしなやかな手の舞踊は、人が演じているとは思えないほどに、美しい動きを見せ、思わず幻想の世界に引き込まれてしまいそうになるほど、彼ら“千手観音”の踊りに圧倒されてしまいます。彼らに大きな拍手をしたとしても、彼らには聴こえない。でも、その気持ちを持つことが大事なのです。
千手観音を通して
千手観音を通して、思い浮かべて欲しいことがあります。
自分を含めて、五体満足で生まれてきたことを普段何とも思わず生きている人がほとんどです。そんな私たちが、何事でも簡単にあきらめてしまうことは、千手観音を踊る、彼らにとって、とても失礼なのです。私たち自身、こうして、五体満足で生まれてきたことに感謝して、世の中には、自分以上に、不自由ながらも努力し続けている人たちがいることを感じながら生きていくべきではないでしょうか?
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